WebFIWebFtermとIPDLの比較    2007.3/8

 IPDL(特許庁電子図書館)のFI記号やFタームの検索は、古くからのものが
全部見られるとか、検索が速いなどのメリットもありますが、下記のような問題もあ
ります。
六車技術士事務所ではこれらを解決するために、WebFIWebFtermを開発しております。

FI記号の検索では、キーワードのand検索は各FI内で適用されるので、ほとんど
 出てこない。つまり、漏れが多い。
Fタームの検索では、キーワードのand検索はテーマ内の全体で適用されるので、多
 く出すぎる。つまり、ノイズが多い。
他のFIやFタームの説明文や、技術の詳細説明文も一緒に検索するので、非常にノ
 イズの多い結果
になる。
拗音(詰まる音などの小文字)が大きく書かれているものがあり、それらは小文字で
 は検索できないので、漏れになる。
・現在使われていない古いFタームの一部が、一緒に検索される。
・検索結果の内容を確認する作業が、1件ずつクリックして開いて見なければ分らず、
 また、それぞれ数ステップが必要で、時間がかかる。
  ⇒とても何十件も見られない。実務上、大変大きな問題。

・検索結果の内容を確認するとき、どこを見ているか分からなくなる、迷子になる。
  ⇒利用をあきらめることも。実務上、大きな問題。

 以下、WebFIやWebFtermと比較しながら、実例で説明します。

 ■検索の漏れやノイズの問題■

 下表の「検索の特徴」にも書いてあるように、IPDLでのFIの検索は、わずか1行内
の説明だけを対象に検索するので、and検索をするとほとんど見つからないと言ってよい状況
です。「FIハンドブック」の検索をすれば回等件数は増えますが、多くは他の分類の紹介や
本題と関係の少ない関連技術の説明を検索しており、これもあまり役立ちません。
 また、Fタームの検索は逆に1つのテーマ全体の説明文全体を対象に検索するのでノイズが
多すぎて、参照が困難であることもあって、非常に利用し難い状況です。

 これに対し、WebFI、WebFtermは、FIやFタームの直系上位の説明文をつないだ文章を対
象に検索するので、妥当な内容の検索が可能です。
 
 比較項目    WebPatClass IPDL
WebFI WebFterm FI FIハン
ドブック
ターム ター
ム解説
 検索の特徴 直系上位の文章
内で条件検索。
漏れやノイズが
少ない。
1行の中の文章
だけを対象に
条件検索・・・

れが多い
1テーマの中の
全ワードを対象
に条件検索・・・
ノイズが多い
 内容チェックの
  所要時間
 約5秒  約30秒(慣れないともっとかかる)
    以下は検索比較実験    ※回答の単位は分類の数

(半導体+LSI)and
(断線+ショート+短絡)


(解説1)
←妥当な
ものとは思え
ないもの

 (解説1)
53 132

電池*自動車

10 46 97

デジタル*映像

11 11 46 74

デジタル*(映像+イメ
+動画+静止画)

13 37 40 62 292

(情報+データ)
 *(
圧縮+
解凍)

33 103 26 106 335

(テレビ+TV)*(スクラ
ンブル+暗号+解読+復号)

22
(解説2)
←この内6つは他の分類の紹介 11←この内10つは他の分類の紹介など 22
(解説2)
44

解説1・・・(半導体+LSI)and(断線+ショート+短絡)の検索では、IPDLの検索では
「FI」の検索は0件だから比較しようがありませんが、「FIハンドブック」で検索できた
3個は以下のとおりです。



 この3個のうち、1番目と3番目の2つは関連技術の細部の説明として使われているワー
ドが一致しただけのものであり、2番目のものは他のFIの説明文でヒットしているもので
あり、いずれも妥当なものとはいえません。(参考;WebFIでは、3つのいずれもヒットにはなっていない。)
 
 一方、WebFIでは5個見つかっています。下の表はその検索結果ですが、直系上位が手際よ
く表示されており、スクロールして見るだけで、必要なFIを簡単に探せます。

◆回答件数= 5   (WebFI V2.5)
◆検索内容=(半導体 LSI)*(断線 ショート 短絡)

----------
G05F 電気的変量または磁気的変量の調整システム[4][5]

G05F 1/00 電気量の単一または複数の所望値からの偏差を系の出力部で検出し,系内の装置へフィードバックし,これにより検出量を単一または複数の所望値へ復原する自動制御系,すなわち反作用系
G05F 1/10 ・電圧または電流の調整
G05F 1/46 ・・最終制御装置により実際に調整される変量が直流であるもの[4]
G05F 1/56 ・・・最終制御装置として負荷と直列の半導体装置を使用するもの
G05F 1/56,310 ・・・・負荷と直列にトランジスタのあるもの
G05F 1/56,320 ・・・・・保護動作に特徴のあるもの
G05F 1/56,320C 電圧または電流の異常時の保護に関するもの
G05F 1/56,320S ・負荷短絡時の保護
-----------
H01L 半導体装置,他に属さない電気的固体装置[2]

H01L 21/00半導体装置または固体装置またはそれらの部品の製造または処理に適用される方法または装置
H01L 21/02 ・半導体装置またはその部品の製造または処理
H01L 21/04 ・・少なくとも一つの電位障壁または表面障壁,例.PN接合,空乏層,キャリア集中層,を有する装置
H01L 21/50 ・・・サブグループ21/06〜21/326の一つに分類されない方法または装置を用いる半導体装置の組立
H01L 21/60 ・・・・動作中の装置にまたは装置から電流を流すためのリードまたは他の導電部材の取り付け
H01L 21/60,301 ・・・・・ワイヤボンデイング
H01L 21/60,301C ワイヤのシヨート防止
-----------
H01L 半導体装置,他に属さない電気的固体装置[2]

H01L 21/00半導体装置または固体装置またはそれらの部品の製造または処理に適用される方法または装置
H01L 21/66 ・製造または処理中の試験または測定
H01L 21/66, S 配線部の断線絡等
-----------
H01L 半導体装置,他に属さない電気的固体装置[2]

H01L 29/00 整流,増幅,発振またはスイッチングに適用される半導体装置,または少なくとも1つの電位障壁または表面障壁,例.PN接合空乏層またはキャリア集中層,を有するコンデンサーまたは抵抗器;半導体本体または電極の細部[2]
H01L 29/66 ・それらの動作に特徴のあるもの
H01L 29/68 ・・整流,増幅またはスイッチされる電流を流さない電極に電流または電位を与えるだけで制御できるもの[2]
H01L 29/70 ・・・バイポーラ装置
H01L 29/74 ・・・・連続的に制御可能でないもの,例.サイリスタ
H01L 29/74, A エミッタ短絡構造
-----------
H01L 半導体装置,他に属さない電気的固体装置[2]

H01L 29/00 整流,増幅,発振またはスイッチングに適用される半導体装置,または少なくとも1つの電位障壁または表面障壁,例.PN接合空乏層またはキャリア集中層,を有するコンデンサーまたは抵抗器;半導体本体または電極の細部[2]
H01L 29/66 ・それらの動作に特徴のあるもの
H01L 29/68 ・・整流,増幅またはスイッチされる電流を流さない電極に電流または電位を与えるだけで制御できるもの[2]
H01L 29/76 ・・・ユニポーラ装置
H01L 29/78 ・・・・絶縁ゲートによって生じる電界効果を有するもの
H01L 29/78,301 ・・・・・絶縁ゲート型電界効果トランジスタ,例.MOSFET
H01L 29/78,651 ・・・・・・縦型トランジスタ
H01L 29/78,652 ・・・・・・・おもに構造に特徴があるもの
H01L 29/78,654 ・・・・・・・・動作に特徴があるもの
H01L 29/78,655 ・・・・・・・・・絶縁ゲートバイポーラトランジスタ
H01L 29/78,655D ・アノード短絡
-----------


c Muguruma Proffesional Engineer Office 2001, 2006 All rights reserved.

 また下図のように、クリックするだけで詳細なFI記号が右側に表示され、前後の
関係を確認できます。





解説2・・・(テレビ+TV)*(スクランブル+暗号+解読+復号)の検索では、IPDLのF
ターム検索結果とWebFtermの件数はどちらも22件ですが、内容は以下のようにかなり
異なっています。
 まず、下記はIPDLの検索結果ですが、関係のないものが出ていたり、すでに使われ
ていないFタームが何の説明もなく出ていたりして、非常に理解し難いです。

※左の上4つはノイズと思える。

※左の6番目の5C064は下図のように、他と
 同様にテーブルが表示される。
 
 しかし、よく調べるとこれは平成16年に
 5C164に変更されており、それ以降の出願
 には使われていない。実際、2006年9月以
 降の公開公報には全く付与されていない。
 存在すると思って検索に使うとそれ以降は
 は漏れることになる。

 


 これに対し、下図はWebFtermの回答画面ですが、左フレームが回答リストであり、これを
見るだけで、必要なFタームであるかどうかすぐ分る、しかもそのFタームの前後を含めた全
体を見たければ、クリックして中央の全体を表示させ、さらに右側にその解説を表示させられ
る。



 また、必要であれば、下図のように、テーブル形式でもを表示できます。
(これはIPDLを利用しており、インターネット接続できない場合やリンクできない場合は表示できない。)



 ■拗音(カタカナの小文字)の検索■

 IPDLのFIやFタームでの検索では、拗音(カタカナの小文字)の取り扱いが統一され
ていません。例えば「フィルタ」で検索すると「フイルタ」のように「イ」が大文字で書か
れているものは検索できず、漏れになります。「フイルタ」と書かれているものがFI記号
では大量にありますし、Fタームでも少しあります。下記に実例をまとめてみました。

       検索文字 FI記号 FIハン Fターム Fターム解説
                 ドブック      
     .
フィルタ;  フイルタ  317件   329    15    18
ディスク;  デイスク  237    261     3     6
エジェクタ; エジエクタ  20     20     3     0
ファイル;  フアイル   61     65     0     0
カッタ;   カツタ    53     56     0     0
ロボット;  ロボツト   16     16     0     0
ショベル;  シヨベル   5     5     0     0


 WebFIやWebFtermでは拗音も考慮して、つまり「フィルタ」と入力すれば「フイルタ」も検
索するようにしてありますので、この意味での漏れはありません。


 ■表示の見難さ■

 IPDLの検索結果を確認するには、1件ずつクリックして開いて見なければ分らず、また
体のどこを見ているのか分り難く
、大変判断し難いといえます。

 下記は、IPDLのFI記号を、(テレビ+TV)*(スクランブル+暗号+解読+復号)で検索した結果
の一部です。G11BとG11B19/04,100@Hは他の分類の説明をしている部分がヒットしていますので、
内容を見るまでもなく、ノイズのようです。


その下をスクロールしても、他の分類の説明で一致している部分が続いています。一番最後
にあるH04N7/167というのは内容的にヒットの可能性がありそうです。その詳細を見たいので、
これをクリックしてみましょう。


 下記はその結果ですが、7/167の前後が表示されます。このとき、上記の検索結果は全く見え
なくなりますので、用心しないと迷子になる(元に戻れなくなる、どこから来たのか忘れてしま
うなど)恐れがあります。



 下図は、スクロールして上を見たものですが、最上位のH04Nがどのような分類であるのか知る
ことができません。つまり全体がよく分らないのです。



 ここで、また検索結果に戻るには、「戻る」キーを何度かクリックすることになります。とこ
ろが、そうして戻った検索結果の画面は先頭位置であり、先ほど見ていた場所ではありません。
自分はどこを見ていたのか分り難い状態になります。そうこうしているうちに、迷子になってし
まうこともあります。ちゃんとやるには、非常に忍耐を要します。
 
 これに対し、「WebFI」で、同じく(テレビ+TV)*(スクランブル+暗号+解読+復号)を検索する
とその結果は下図のようになります。左に回答3件のリストが表示されています。例えばその1つ
目を見ると、直系上位が圧縮表示されており、意味がよく分ります。



 もし、詳細を見たい場合はクリックすれば右側に前後の全体が表示されます。


 このように、WebFIでは(WebFtermも同じですが)、回答リストに直系上位の分類と説明文が
圧縮表示されるので、詳細分類表をいちいち開かなくても内容の概略が分り、簡単に必要なも
のを探せます。さらに、詳細な分類表を開いたときにも検索結果が表示されており、常に全体
を見通した利用ができます。