読後感; エネルギー問題を、難しい言葉をほとんど使わず丁寧に解説してくれる本です。非常に参考になりました。私のエネルギー問題への疑問をほぼ完璧に解決してくれました。エネルギー問題に関心のある人にぜひ読んでほしいものです。
なぜ、水(500mリットルで100円、1リットルで200円)よりもはるかに安いガソリン(1リットルで130円)があるのか、石油はなくなるのはずっと先だがまもなく大変高価なものになっていく、太陽光発電や風力発電は全く頼りにできない、トウモロコシなどのバイオガソリンは食料問題など他の大きな問題をはらんでいる、ハイブリッド車も本命ではない、唯一頼りになるのは原子力であるが人災の面をクリアーする必要のあること。そのためには、秘密主義、専門主義を排する必要のあること、利害関係のある業者や政治的思惑により原子力をはじめ多くのエネルギー問題の本質が分からなくなっていることを詳しく書いてあります。
私は茨城県に住んでおり、2000年頃に起きたバケツでの原子力臨界事故も切実です。あの事故以降、近くの住民は避難訓練をするようになりました。それまでは、避難訓練が必要ということは危ない原子力なのだろうという一部の人たちの意見で実施されていなかったように思います。私はずっと前からその論理はおかしいと思っていました。純粋に技術的に考えれば良いのに、政治的な煽動や思惑で捻じ曲げられていたように思っていました。そのためか同感でき理解が深まることが多いです。
私は、太陽光発電が2009年11月から1KWhあたり48円で買ってくれる、その分の電力会社の負担は一般ユーザに薄く割り当てられること、設置に当たっては補助金が30万円前後出ることなどにより、設置しようと考えていました。実は、昨年末実際に設置のために見積もりを取ったりしていましたが、補助金の残りが少ないこともあって延期していました。私は利益になるからやるのであって、最初からエコロジーの観点ですばらしいとは考えていなかったのですが、この本を読んで問題点がはっきり分かり、結局設置はしないことにしました。
つまり、太陽光発電装置を作るために多くの電力を消費すること、そのために税金からの補助金や政策として国民から金を集めないと設置にかけた費用を回収しきれないことがはっきりしました。つまり太陽光発電は資源を浪費するものであり、まだまだ使い物にならないことが分かりました。
私はハイブリッドカーに乗っていますが、これはこれで良いと思っています。かなり長期間乗らないと車の高い価格分を燃費向上分で回収しきれないことは、最初から分かっていました。ハイブリッドカーに乗るメリットは、乗るたびにあまりガソリンを使わない(金がかからない)ので下駄がわりに気楽に使える点が良いので買ったものでした。
スーパーマーケットでもらうレジ袋というビニールの袋は、省エネにはなっていないこと、原価は約1円だが買うと5円必要で差額は店の収入になっていること、だからレジ袋有償化は店側が積極的に進めた、ヨーロッパに1回旅行に行けば300年分のレジ袋を使ったことになるなど痛快です。
「偽善エコロジー」で詳しく書いてありますが、レジ袋は原油の中でもあまり使い道のない材料の部分を使っているので安いものであり、どんどん使って生ゴミなどの助燃材として燃やしてしまうのが、もっとも無駄の無い方法だそうです。
確かに、役にも立たないことを「頑張って、努力して」やって、それでエコロジカルな生活をしていると考えて、他の方面で大いなる無駄使いをしていることに気が付かない、というより目をそらすというのが一番困ることですね。
まじめにエネルギー消費量を減らしたければ、テレビを小さくし、エコ減税などで買い替えをあおるようなことをしない、自家用車はもたず公共交通手段を利用するのが良い、経済発展と省エネは矛盾するものである、と説明してあります。いまやるべきは、省エネではなく代替資源を探し技術開発を行なうべきであるという主張。
私の意見ですが、アマゾンの森を切り倒したパルプで作ったであろう赤ちゃんのオムツを使い捨て、しかも湿ったものに油をかけて燃やす、公園の雑草をビニール袋に入れ自動車で集めてこれも油をかけて燃やす・・・これで良いはずがありません。
私は「技術開発が重要」であることはよく分かりますが、省エネが不要との部分は少し疑問が残っています。また、風力は台風のような変化の激しい風の日本ではダメという説明には少々疑問があります。それこそ技術開発で対応できるのではないでしょうか?
これも私の意見ですが、最近いろんな店で買い物をするとポイントを付けるのでカードを出せと言われませんか?、あんなことを止めてレジ袋をさっさと使ってほしいものです。
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