固定料金での情報検索 H12.11.20
データベースショーが、先月東京で開かれました。特許だけでなく、各メーカーの技術誌などを一緒に収録しているデータベースなどは今後の進み方の一端を示しているように思われました。
日経新聞では(特許ではありませんが)、データベースを社内に広く使わせるために、各ユーザがユーザIDを個別に意識しないで利用できるシステムを紹介されていました。これは確か、社内のLANを利用するときに入力する社員番号により社内のシステムが自動的に、ある社外システムを利用するためのユーザIDを作り上げるシステムだったように思います。
ユーザは、社外システムのユーザIDを知らなくても利用できるわけです。このような仕掛けも今後の進み方の一つのような気がします。ただし、このような仕掛けは、利用代金が従量制であるかぎりなかなか難しいように思えます。つまり、社内ユーザが無料と思って無茶苦茶に使い、後で、びっくりするような請求書が来たのではたまりません。
そこで、固定料金の情報提供体制が考えられます。ところが、固定料金の利用にすると無茶な使い方をしてデータベースが動かなくなるとか、全データをダウンロードされてしまい、その後使ってもらえないなどの心配がつきまといます。そのため、これまで多くのデータベースでは固定料金の体制をとりえませんでした。
しかし、社内データベースの多くは固定料金体制で使い放題ということですし、商用データベースでも固定料金で使い放題の契約もあるようです。
(特許庁のデータベースは無料で使い放題ですが、機能的に限定的
ですので、分けて考えましょう。)
このような固定料金によるデータベース運営が、なぜなりたつのか考えてみました。いろんな意見がありましたので、そのまま書いてみます。
Aさん;出力をいっぱいすると読むのに時間がかかるので、あまり出力しませ
ん。ですので、固定料金にしてもそれほど使わないのではないでしょうか。
家ではゲームをしたり、テレビを見たり、ファミレスも夜中まで開いてい
るのに、いくら無料だからといっても、楽しくもない特許情報を山ほど出
す人はいませんよ。もしいたとしても、そのうちに飽きてしまうと思いま
す。
Bさん;実は私は、これは儲けものと考えて、たくさん出力しました。ところ
が取りこんだ多くの特許のどこに自分の欲しい特許があるのか見つけるこ
とが簡単ではなくなり結局使えませんでした。データベースでは蓄積が大
切なのではなく、取出す手段が重要なのだと気がつきました。
1ヶ月だけ無料というと一生懸命にダウンロードして必要な特許を自分
のパソコンに取りこもうとするでしょう。しかし、今後ずっと無料なら必
要ありません。ダウンロードする時間を、それよりもはるかに重要な創造
的な仕事にむけることができます。
最近は必要なものだけを検索して取出すようにしています。大切なこと
は、パソコンやファイルにいっぱいデータを持っていることではなく、い
つでも取出せる手段を確保していることだと悟りました。
Sさん;いくら無料でたくさん検索したり出力できるといっても、無駄な利用
はもったいないものです。良心がある限りムチャな利用は限られていると
考えていいのではないでしょうか。
外灯が珍しかった頃、電球が盗まれたりしました。しかし、最近はその
ようなハナシは聞きません。
いまも昔も、「捨てることが大切じゃ」という人がいます。少なくとも、
無駄なものを溜め込むことほど哀れなことはないように思います。
IT革命は急速に進んでいます。ITの入口の人にとっては、何でもいいからタダでもらえると有り難みを感じるかもしれません。しかし、IT革命を享受している人にとっては、意味のない情報はガラクタであり、本当に必要とする情報の妨げになることに気がつきます。