MicroPatent社にインタビューした結果をご紹介します。
Q:米国特許の包袋は紙だと聞いていますが、なぜ
電子的な手段で入手できるのですか?
A:米国特許庁に出向いて、紙の包袋資料をまず紙にゼロックス
コピーします。それを事務所に持ち帰ります。
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左の特許庁のゲートを毎日
何回も行き来します。
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次に
目次と照らし合わせて抜けがないかどうかチェック
します。包袋は一定の手続きは必要ですが、それさえパス
すれば誰でもかなり自由に見られるので、その分だけ乱れ
が激しいのです。
この手間を省くと安くできますが、それでは特許の仕事に
使えない恐れがありますので気をつけています。
この並べ替えに結構な時間がかかります。
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紙で徹底して
チェックしま
す。
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次に、
イメージスキャナーで電子化しPDF化します。
そして最後の仕事は、
PDFのインデックス(しおり)
の作成です。
このように作業工程は多く、けっこう時間がかかります。
Q:電子包袋のメリット・デメリットを教えてください。
A:メリットは、何といっても保存スペースの小さいこと
と、持ち運びの簡単なことです。
入手までの日数が平均すれば、紙よりも短いです。二日
で入手できることもあります。
さらに、しおりが付いていますので欲しいところが迅速
に見つけられます。
デメリットはあまり無いようですが、紙とは違ってパソ
コンで表示しますので、慣れが必要かもしれません。
また書き込みできないこともデメリットと言う人もいま
すが、自分たちとしてはオリジナルの資料に、不用意に
書き込んだりすることが防げますし、また必要なところ
だけ紙に印刷すればいくらでも書き込みはできるので、
デメリットとばかりは限らないかもしれません。
Q:電子包袋の受け取り方は難しくないですか?
A:きわめて簡単です。インターネットでホーム頁を見た
ことのある人ならまず受け取れます。
まずメールで電子包袋を置いてあるコンピュータのアド
レス(URLといいます)を送ってきます。
このURLに青いアンダーラインが付いていればそれを
クリックするだけで、受取りが開始されます。
受取りには、直接表示する方法と、パソコンに保存して
から表示する方法がありますが、後者が安心でしょう。
受取りに要する時間は包袋の大きさとインターネットに
接続している状況によりますが、約1分前後〜十数分程
度です。
なお、PDFファイルを選択している場合にはアクロバ
ット・リーダーというソフトが必要ですが、無料ですし、
他の多くの場合に利用するのですでにパソコンに入れて
いる方も多いと思います。
※電子包袋の受け取り方としては、CD-ROMで郵送してもら
うこともできますがこれは通常の郵便ですから、ネット
ワーク以上に簡単です。
Q:インターネットで受け取ると速いですが、CD−Rで
簡単に持ち運びできることも便利です。どのように使い
分ければ良いのでしょうか?
A:インターネットで受け取ったPDFファイルは、パソ
コンのハードディスクに保存されます。このデータを
CD−Rに保存することは最近のパソコンでは簡単に
できます。CD−R自体は50円程度です。
ですので、特別のことが無い限りインターネットで受け
取ることが便利だと思います。
Q:包袋の部分取寄せで安くなりますか?
A:ほとんど安くなりません。これは作業量の問題です。
つまり、包袋のゼロックスコピーやチェックは資料の
全体を行なう必要があります。安価にやろうとすると
最初から必要箇所のコピーをすればいいのですが、こ
れでは特許庁の包袋資料の現状から見て、信頼性が確
保できません。
さらに、必要箇所の選択などの時間もかかります。
このような事情であまり安くなりません。
ただし、数千頁を超えるような膨大な資料の場合に
は部分的な指定では安価にできることがあります。
Q:頁数の見積もりはできますか?
A:できます。依頼のときに
Page Count Only. と書けば頁数の連絡をまず行い、あらた
めて作業開始のご連絡をいただいてから作業を開始します。
ただし、発注を止めた場合は30$の費用が請求されます。
発注すれば、この費用は追加されません。
Q:電子的な入手は便利ですが、EPOのように
無料でホーム頁で入手できませんか?
A:米国特許庁では包袋はすべて紙ですので、しばらく
の間は、欧州のような具合にはならないでしょう。
Q:一度電子化したものは、早く入手できるのでしょうか?
A:そのとおりです。MicroPatentでは、コンピュータ技
術を駆使して過去に発注のあったものを蓄積しています。
蓄積済み特許包袋を依頼いただくと、直ちに発送します。
日本からの依頼ですと、翌朝には受け取り可能になります。
現在(2003.10月時点)で、約5万件を蓄積しております。
問題になる特許は限られていますので、蓄積済みに出くわす
ケースが結構あるそうです。
なお、当然のことですが毎年18万件程度ずつ新たに発行
されていますので、それらは発注を受けてから数日かかり
ます。
Q:日本語で質問などできるのですか?
A:できます。大泉氏の他にも日本人スタッフがおります。
連絡先;
moizumi@micropat.com
このメールは、大泉氏が不在のときでも別のスタッフが見る
ようになっているそうです。
安心して利用できると思われます。
Q:包袋にはインターフェアランス関係も含みますか?
A:インターフェアランス(抵触審査)のリクエスト書類などは、
特許の審査の包袋に追加されます。しかし、リストに記載されてい
ても、実際に包袋には含まれていないこともあります。このよう
に、書類すべてが審査包袋に含まれているとは限りません。
なお、下記USPTOのPAIRシステムで、各特許の
包袋に入っている書類のリストを見ることが出来ます。
http://pair.uspto.gov/cgi-bin/final/home.pl
インターフェアランスの書類自体は、特許審査の包袋とは別に、
抵触審査包袋にファイルされます。
つまり、包袋は詳しく言うと下記の3種類があります。
(1)特許の審査包袋(+技術文献)
(2)特許の審査包袋内のインターフェアランスに関する書類のみ
(3)特許の抵触審査包袋
(1)(2)は,通常のホームページからの申し込みで可能ですが、
(3)はホームページからの申し込みは難しいです。インターフェ
アランスの経過の全て分かる抵触審査包袋は上記の大泉氏あてに
メールを書くのが確実です。