ナノ技術をECLAで検索 H19.12.5

 EPO(ヨーロッパ特許庁)では国際特許分類・IPCを細分化したECLAコードを併用しています。日本特許庁が使っているFI記号と似たものですがFI記号ほど細かくありません。また、FI記号はIPC第3版を中心に、一部は4,5版も使って細分化していますが、ECLAはもっと新しいIPCを細分化しています。

 下記は一例として、プリント関係技術に関する部分です。ECLAでは、B41J3/28(平面上,例.本,図面,箱の平面上,に下に向ってプリンティングするもの)がわずか2つに分かれています。つまり、B41J3/00からB41J 3/30までが8つに分かれています。

 下記は該当部分のIPCで、6つに分かれています。


 これに対し、FI記号は B41J3/00 が下記のように細かく分かれ、以下、B41J3/04、3/10、・・・、3/20、・・・などの多くのIPC記号がさらに細かい記号に分かれています。(ただし、B41J 3/28はそのままであり、細分されていません。)
この結果、B41J 3/00 〜 B41J 3/30 までが驚くことに 239に分かれています。
 詳細⇒http://blog.mag2.com/m/log/0000181771/109217950.html


 FI記号がいくら便利であっても外国特許の検索ではFI記号は使えませんので、そのようなときは ECLA を使うしかありません。

 ところで、ECLAではYコードというものができており、これは新技術に対して付けられるものであり、他のECLAを補足するようなものだそうです。PATOLISの固定キーワードとか、FI記号のZ記号のようなもののようです。
 現在は Y01N があるのみです。Y01Nはさらに下図のように6つに分けられています。


 日本のFI記号ではナノテクに関しては下記があるだけですから、ナノテクに関する限り、ECLAの方が細分されています。
 ZNM ナノテクノロジー応用技術[適用範囲 全範囲]

 なお、ECLAはEPだけでなくEPOが収録した各国特許にも付けられています。PatentWeb/PatSearch FulltextでもUS,WO,JP,DE,GB,FRの全収録国の特許で検索できます。

 下図はPatSearch FulltextのUSPの明細書の出力です。ECLAが表示されており、その2番目にY01N000400としてナノテクのECLAが書かれています。


 下図はECLAを使った検索画面ですが、Y01N2のECLAはY01N0002というようにIPCの入力と同じフォーマットで行ないます。


 下表は、USPにおけるナノテク関係ECLAの登録年ごとの件数です。
   対象;USP(米国登録特許) 2002 2003 2004 2005 2006 2007.11
月まで
Y01N ナノテクノロジー(全般) 1372 1672 1819 1673 1960 1459
Y01N2 ナノバイオテクノロジー 123 110 99 81 84 76
Y01N4 情報処理、記憶、伝送のためのナノテク 608 763 849 792 928 662
Y01N6 物質と表面科学のためのナノテク 335 374 446 424 578 473
Y01N8 相互作用、センサ、駆動のためのナノテク 198 220 212 170 187 142
Y01N10 ナノ光学 197 284 331 289 340 235
Y01N12 ナノ磁気学 268 312 376 284 335 201

 下表は各国の1971年から2007.11月までのY01N(ナノテク全般)の合計件数です。
※なおJP公開(日本公開)はPAJ(日本公開特許抄録の英訳版)データです。1980年代の途中まではPAJが分野の限定、欧米優先権主張出願は未作成などのため公開公報の全体ではなかったので、以下の件数はその限定的な中においての件数です。また、PAJは翻訳のために4ヶ月程度遅れて発行されていますので、2007年分は半年分程度しか入っていないとみるべきです。
  1971〜1979年 1980〜2001年 2002〜2007.(11)月まで
US登録 310件 8,945件 9,955件
EP公開 6 6,767 7,346
EP登録 0 2,036 1,816
WO公開 2 3,821 10,153
JP公開 138 7,515 6,135
DE公開 229 1,182 1,020
DE公告 130 412 219
GB公開 195 546 169
FR公開 169 605 201

 下図は Y01N8 (相互作用、センサ、駆動のためのナノテク) で検索したUSPのPatSearch Fulltextの抄録出力を専用処理ソフト・SGshotで加工したファイルです。
 実例⇒ここをクリックすれば2007年のうち20件の実例が参照できます。(PatentWebのID、パスワードを入力すれば図面も参照できます。SGshotのお問い合わせは中央光学出版へ)