ハイブリッドカーの電池の充電に関する特許の検索を事例として、初心者向けに、near演算子の利用や同義語の追加などを検討してみます。
対象技術・・・ハイブリッドカー(および類似の表現の自動車)で、電池の再充電における何らかの工夫をしてあるものとしました。実際にはさらにその工夫の内容も指定することが多いと思いますが、ここではそこまで限定しません。
期間; 2005年1月以降、対象・・・US登録特許
検索式; まず、分かっている簡単なワードで検索することにしました。
(hybrid and car) and (battery and recharge)
検索画面は以下のように、通常の検索画面です。
1回目;(hybrid and car) and (battery and
recharge)
⇒回答 27件
この内容を見てみると、rechargeはrechargeableが何度も出てくるので、rechargeableはあるがrechargeは無い特許もありそうに思えて下記のようにしました。
2回目;(hybrid and car) and (battery and
recharge*)
⇒回答58件
最初の27件に対して倍以上であり、半分以上が漏れていたことが分かりました。
また、carの代わりに、乗り物という意味でvehicleも使われています。これもUSP検索では、一般的に気をつけるべき事項です。
3回目;(hybrid and (car or vehicle)) and
(battery and recharge*)
⇒回答 141件
かなり増えました。しかし、ノイズもたくさん入っています。
そこで、ワードが一定の近さにあるものだけを指定する検索をすることにしました。
hybridとcar、または、hybridとvehicle が隣あっているものを検索することにしました。検索式は下記のようになります。
4回目;(hybrid near (car or vehicle)) and
(battery and recharge*)
⇒回答 41件
41件とかなり少なくなりましたが、必要なものも減っているようです。
そこで、1ワードまでは間に存在してもよい条件で検索することにしました。
つまり hybrid の前後2ワード目に car か vehicle
があるものを検索することにしました。PatentWebでは、下記のように、near2
と書くことで、2ワードが存在しても良いのではなく、2ワード目に後ろのワードが来ることを宣言することになります。
5回目;(hybrid near2 (car or vehicle))
and (battery and recharge*)
⇒回答 57件
先ほどの41件との違いを知りたくなります。
ここで、検索画面に戻って、ヒストリーに移動します。
15行目の57件から、14行目の41件を除いた検索をしてみます。
16件該当しました。
この「16hits」をクリックするとその内容を見ることができます。
16件の特許リストの1件目を見るとその中に下記のような記述があります。
つまり、・・・products. A
hybrid electric vehicle(^) is ・・・と言うように間に electric を挟んだもので、技術的には必要なものです。したがって
near2 としたのは正解と思われます。
では、もう少し緩やかにして、5ワード目に来るもの、10ワード目に来るもの、20ワード目に来るものを順次、検索してみました。
間にくるワード数を大きくするということは、and条件の検索に近いづいていることになります。しかし、and条件の検索は長い明細書のどこにあってもヒットになる条件を検索しているのですから、間に許されるワード数が数百も許されることを意味します。したがって、ワード数が10や20であるのは
and 条件よりはるかに厳しい条件による検索といえます。
6回目;(hybrid near5 (car or vehicle))
and (battery and recharge*)
⇒回答 71件
7回目;(hybrid near10 (car or vehicle))
and (battery and recharge*)
⇒回答 75件
8回目;(hybrid near20 (car or vehicle))
and (battery and recharge*)
⇒回答 77件
この検索では、一定以上ワードの間隔を離してもあまり増加しませんでした。
しかし、いつもそうとは限りませんが、大体
near10 くらいが、ノイズも少しあるが漏れが少ない限界のように思われます。
また、electric motor と combution engineの組み合わせと書いてある特許も見つかりましたので、それも拾うように検索式を考えると、次のようなものになります。
9回目;((hybrid near10 (car or vehicle))
or (motor near10 engine)) and (recharge and
battery*)
⇒回答 85件
6回目の71件との差をとると32件あります。
どのようなものが増えたのか見てみると、エンジン(内燃機関)を最初に動かすモータが数多く出ています。
したがって、この例では、orで motor near10
engine を追加する必要はなかったようです。
near 演算子はこのように使うことで、ノイズや漏れの少ない検索を実現できます。