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   堆肥の放射線量の測定   ⇒目次 ⇒六車農園

2011.7/30(土)、雨のち曇り
 いろんなところで堆肥に放射性物質が基準値より多く含まれていると大騒ぎしています。そこで昨日、私の堆肥場の放射線量を測定してみました。

 堆肥は60〜70cmくらい積み上がっています。表面ではだめですから堆肥に20cmくらいの穴を掘り、その中で測定することにしました。


 放射線量計を入れたビニール袋を穴の中に入れます。


 ショベルで穴の上を埋めます。


 こうやって計ってみたら、1時間あたり約0.34マイクロシーベルト(約0.34μS/h)と分かりました。
(0.58+0.30+0.21+0.44+0.23+0.17+0.28+0.48+0.26+0.46=3.41、平均0.34)

なお、その近くの畑の地表の値は約0.12μS/hくらいでした。

 0.34μS/hは年間換算では3.0mSになります。日本の平均値は年間約1.5mS、世界平均は年間約2.4μSですのでやや多いとは言えます。しかし、これは畑に撒くことでぐっと薄まります。堆肥をそんなに大量に畑に撒くことはしませんので、おおよそ1/20位になると思います。

ですので、おおよそ0.13μS/hであり(年間に換算すると約1.14mS)であり、全く気にする必要はないといえます。
 (0.12*20+0.34*1)/21=0.13μS/h

 ただし、以上は放射線量のことであり、放射線は微量であってもそれを出す物質を体内に取り込む問題はまた別です。それについては、ここに書くだけの知識がありません。とはいえ、たぶん、それほど大きな問題ではないように思います。

◆疑問・・・なぜ、堆肥の放射線量は多いのか?
 計ってみると地面の放射線量は0.12μS/hで、堆肥の中は0.34μS/h。なぜ堆肥の中が多いのか?
 大気や雨に含まれる放射性物質が集まったものであれば、普通の地面でも条件は同じです。つまり、堆肥場にだけ雨が降るわけではありませんので、地面にも同じ量の放射性物質が落ちているはずです。
 堆肥には草が多いので繊維が多く、雨から放射性物質を多く吸着したのかもしれません。では地面に落ちた雨の中の放射性物質はどこに行ったのでしょうか?
放射性物質は蒸発するようなものではないし、地表から少し下にしみ込んで残っているのでしょう。

 もう1つの観点。地面の草は土壌の栄養を吸収しますが、そのとき放射性物質も吸収して地面の放射性物質を減らしているはずです。逆に、堆肥場には草をどんどん入れ、それが腐れて腐葉土ができますので、放射性物質も増えるはずです。

◇私の検討の結論・・・地表が0.12μS/hと低く、堆肥の中が0.34μS/hと多いのは、次の理由と思います。
1.地表での測定では、測定器は地表にあるで上半分は空中からの(たぶん弱い)放射線を測定している
2.測定器の下半分も地面の中ではなく地表から出ている放射線を測定している
3.堆肥の中では、四方とも堆肥の放射線を測定している
4.地面にはえている草が放射性物質を吸収してくれるので地表の放射線量は減少する
5.堆肥場には植物をどんどん集めて腐れていくので放射性物質が多くなる

◆もうひとつの疑問・・・@世の中では年間の放射線量を1mS以下にするというハナシがいっぱいあります。政権幹部の人も言っていたような?
 また、A被曝放射線量は「少なければ少ないほど良い」という科学者もいます。本当なのでしょうか?

 @の人たちは、日本の平均被曝量が約1.5mS、世界の平均が約2.4μSということとどのように整合を取っているのだろうか。

 Aはさらに不可解です。例えば、「紫外線を多く浴びるとガンにかかると聞いたが?」と質問すれば専門家は「紫外線は少ないほど良いです、外出するときは半そでは止めましょう、半そでの時は肩までの長い手袋をしましょう」と言います。このように最近の風潮は問題があればすべて除去しようとします。ナイフは危ないから子供に持たせるな、みんなが反対する製品開発はするな、・・・

 しかしそのような純粋培養に近い形が「人間」という生物に本当に合っているのでしょうか?、わたしにはそう思えません。

 話を少し変えますが、弱い病原菌を体内に入れると免疫能力が高まります。結核とか、風邪の予防接種は有名なものです。

 また、免疫について関心を持っていると、面白い記事をちょいちょい目にします。例えば人間は、何十万年という間に多くの免疫能力を身につけて生き残ってきた。ところが今、環境の変化によりそれらを生かす機会が急激に減ってきたために、逆に暴走して自分の体を攻撃することがある。正常な状態を保つには、適度に免疫能力を発揮させてやることが大切というもの。幼児期に牛の大腸菌の死骸の粉を吸い込むとアトピー性皮膚炎の発症を抑えることができるという記事を読んだことがあります。

 また、DNAは薬品や各種のストレスにより少々傷付いても細胞分裂するときに修復されるようにできている、ということです。自然淘汰の成果といえるようです。

 放射線も太古の昔から年間数mSはあっただろうし、場所によりまた時により数10mSくらいあったものと思われます。とすれば、放射線は少ないほど良いとして、不安な人たちをさらに不安に駆り立てるのはいかがなものででしょうか?

 道路や交通事故の専門家に交通事故を減らすにはどうしたら良いかと聞けば、ある専門家は「車は速度を落とすべきです。速度は低いほどよろしいです」というでしょう。確かにそれが一番責任のない回答だろうが、常識で考えればこれでは回答になっていない。
 放射線問題も、もう少しちゃんと答えてくれる専門家はいないのだろうか。


2011.8/7(日)、晴れ
 下の図は7/31(日)の読売新聞に載っていた放射線量のマップです。群馬大学の早川教授が、地方自治体が測定して公表した値を収集したものとのことです。これで見ると日立市の沖の方に0.25μS/hの帯がありますが、日立市はそれ以下の所になっています。ひたちなか市、水戸市も同じです。ところが南の鉾田市は0.25μS/hであり、千葉県柏市はそれより高いようです。私が日立市で、放射線量を計っていても(地上約1.5mで)0.12μS/h程度であるのが納得できました。

 黒い太い線は放射性物質の流れを想像したもののようです。新聞記事にはそうはっきりとは書いてありませんが、放射性物質の流れを直接に測定はできませんのでそう思えます。3月15日には日立市の上を通過したようですが、このとき幸い雨が降らなかったので放射性物質があまり降下しなかったのでしょう。そのため放射線量が高かったのは一時的で、現在は放射線量が低くなっていると理解できます。幸運なことでした。一歩間違えば今頃は妻子と犬と一緒にどこかへ避難しているところでした。
 

 下のグラフは茨城県が公表(http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/index.html)しているものです。3月15日に5μS/h、16日に2μS/h、21日にも1.5μS/hもの放射線量があったが、その後平均レベルに落ち着いていることを示しています。


 これらを勘案すれば、今のところ、日立市での農作物も何も心配はいらないと考えてよさそうです。草木を腐らせた堆肥は草木の量の分だけ少しは放射線は多くなっていましたが、大した量ではありません。
 ヒマワリの実はセシウムを吸収するので、栽培して捨てればよいという話も聞きました。しかし、ここではその必要もないと思います。

 世の中では年間1mSでも危ないという人もいます、マスコミ報道もあります。しかし、見聞きした情報を合わせれば私にはそれは過剰反応のように思えてしかたがありません。私は楽観主義者でしょうか?
 太古の昔から地球上には放射線の多い時期も少ない時期もあり、現在の世界平均では年間2.4μSだとか。それを乗り越えて人類は生き残ってきたのだから、年間10mS(ミリシーベルト)程度以下ならば何の問題もないと思っています。年間100mSで発がん率が0.5%上がる程度ということからそう考えています。

 塩分も、人間は毎日3グラム程度で良い、それ以上は高血圧の原因になるので摂取するな、と言われながらも日本人は10グラムも摂取する人がかなりの割合になると聞きます。

 たばこを吸ったり、食べ過ぎて肥満になったり、偏った食事で体のバランスを壊したり、仕事で過剰なストレスを受けたり、海水浴に行って紫外線で体を焼き過ぎたり、・・・高速道路で時速140Kmで走ったり、時速数百キロで金属の箱(飛行機)に乗って十何時間もかけて空を飛んで海外に遊びに行ったり・・・。これらは、私の家で少々の紫外線と放射能を浴びて農園の生活に比べれば、はるかに危険なもののように思えます。
 そして、日本だけで毎年約3万人が自殺し、約1万人が交通事故で死んでいるという。これを考えれば、年間10mS程度の放射能など全く怖くありません。

 皆がやっているから危険でもやる、皆が怖がるから危険でもないのに怖がる、というのは何かおかしいように思えます。(高い放射線量の地域はまた別です)

 とはいえ私も、電力会社や政府に原発の安全性向上、放射線の影響低減策を実施してもらうことは大いにやってもらいたいと思います。エネルギーの安定供給やCO対策を考えれば原発はしばらく止められないのですから、冷却水確保などは準潜水艦型にしていかに高い津波が来ても良いように安全化を図ってほしいものです。
 環境省に移そうとしている原子力安全・保安院は名称を「原子力規制院」にすべきです。私は米国がそうなっているのを知った40年近く前からそう思っていました。三権分立の精神で取り組むべきです。
 こういうことと、自分自身が怖がることとは別に考えたいものと思っています。

  
2011.8/11(木)、晴れ
 高い所は放射線量が低いと知っていましたが、自宅では測定していませんでした。そこで、本日午前9:30過ぎ、2階でJB4020の測定器を手に持って計ってみました。木造建築。窓は広く空けてあります。
高さ;約4.5m
方法;30秒ごとの測定の1時間換算。6回計って平均値を出した。
測定結果;(0.07+0.07+0.14+0.05+0.07+0.03)/6=0.072μS/h

 その直後、1階の机の上で計ってみました。
高さ;約1.5m
測定結果;(0.03+0.16+0.14+0.05+0.17+0.14)/6=0.12μS/h

 またその直後、庭の芝生の上に置いて計りました。
高さ;約2cm
測定結果;(0.17+0.17+0.14+0.28+0.30+0.16)/6=0.20μS/h

 高さによってはっきりと異なる数字になりました。驚きました。全国の放射線量を表示している所がありますが、高さによってこんなに異なるのでは、あまり細かいことを言ってもおかしなものですね。
 まあ、いずれにしても、最大の0.20μS/hは年間に直しても1.75mSですから全くの平均値と分かり一安心です。

分からないこと・・・下記URLその他で、平均値が0.05μS/hなどと書かれているものがある。これでは年間0.4mSにしかならない。日本の平均は1.5μS/hというものと大きく異なる。何が違うのだろうか?
 http://atmc.jp/


2011.8/12(金)、晴れ
 放射線量に関する昨日の疑問「平均値が0.05μS/hなどと書かれているものがある・・・日本の平均は1.5μS/hというものと大きく異なる。何が違うのだろうか?」が大体わかったので、書いておきます。(多分本当だろうと思いますが、素人ですので)

 この違いは測定場所の地表からの高さの違いによるものと思います。
0.05μS/hなどというのは地上4m程度以上のところであり、
1.5μS/hというのは地上1mあたりでの測定のようです。

 上の都道府県データ http://atmc.jp/ を見ると、測定点の最も低い山口市は1.5mであり、放射線量は0.08〜0.128μS/hとなっています。ですから、地上1m程度であればおおよそ0.15μS/h程度になり年間に換算すると1.3mSになり、日本の平均が年間1.5mSということと概ね一致します。

 また私の日立市の測定でも地上1.5mで0.12μS/hであり、年間1.0mSとなり少し少ないですが大体合います。

 上の都道府県データでは、仙台市は地上80m、広島市は39m、名古屋は34mで測定しています。これらが文部科学省から下記URLで公開されています。よほど注意して見ないと測定位置高さまでは気づきません。EXCEL表でのデータ公開には高さが記載されていないので、山口市は日ごろから放射線が多いのだな等と誤解をしかねません。注意しましょう。
 http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303723.htm


2011.8/20(土)、曇り
 東京の地下鉄・日比谷線の中で放射線量を計りましたら、0.05〜0.16μS/hありました。0.12μS/hが多かったように思いますし平均値はそれくらいでしょう。また、電車を降りて六本木駅からミッドタウンへの長い地下道を歩きながら計ってみたら同じ程度でした。
 ということは、年間に直すと1mSくらいです。地下では空間のベータ線は届いていないはずですから、構造材料や土から出るガンマ線が多いものと思います。(←専門家ではないので間違いがあるかもしれません)

 この量は、日立市のわが家の室内で地上1.5m程度の測定値とほとんど同じです。だから、いつも思っているのですが、この値は原発事故による放射線の影響はほぼゼロとみて良いのではないだろうか。
 であれば、年間1mS以下にしようと騒いでいる人達は、いったい何を言っているのだろうか?、よく分かりません。


2011.9/4(日)、曇りときどき雨
 「学校で受ける放射線量を原則年間1ミリシーベルト以下にし、校庭や園庭の線量は毎時1マイクロシーベルト未満を目安にする」という、政府発表の意味がようやく分かりました。
 つまり、日本の普通の状態での平均でも年間1.5mSあるのに1mSは低すぎると思っていたことの謎が、以下の通り、解けたと思います。

 つまり、政府発表は「学校で受ける」ものだけを言っているのですね。つまり、学校にいる6時間程度、日数はおおよそ200日程度の合計を言っているようです。これを1時間あたりに直すと、
 1mS/(6時間*200日)≒0.83μS/hとなります。

 そこで気になるのは下校した後はどのような環境にいるのでしょうか?

 学校の校庭は表土を入れ替えて1μS/h以下にできたとしても、下校した後は、表土を入れ替えてあるわけではありませんので、もう少し多い環境になりそうな気がします。各家庭の事情で大きく異なるでしょうから確かなことは分かりませんが。

 もし下校後も0.83μS/hと同じ環境にいるとすれば、年間の総被曝量は次のようになります。
 0.83μS/h*24h*365日=7.27mS

 もし、下校後は少し強い環境として倍の1.6μS/hにいるとすれば、年間の被曝量は次のようになります。
 0.83μS/h*6h*200日+1.6μS/h*(18h*200日+24h*165日)≒13.1mS

 つまり、政府発表の学校での年間1mS以下というのは、ある一人の生活全体での被曝量は年間で約7〜13mS程度ということになります。

 これで日本の平均の年間1.5mSと整合がとれ、理解できました。今夜はよく眠れそうです・・・しかし、政府のいう1mSとは結局は年間約10mSを意味していると国民は理解しているのでしょうか?、数字が1mSと小さくなったので何となく安心しているだけのような気もします。

 とはいうものの、理解して正しく怖がる立場からすると、年間10mS程度ならほとんど問題ないと考えます。


2011.9/5(月)、曇り時々晴れ
 数日前、日立市の塙山団地に住む知人が放射線量計を借りに来ました。家の外(多分地上数cm)で0.2μS/h、家の中(たぶん高さ1.5mくらい)で0.1μS/hと連絡がありました。この団地は、私の住んでいる西成沢町の団地と同じく太平洋に面した山の斜面に開けた団地で海抜およそ90mくらい、私の団地より少し南にあります。
 放射線量は、当方とほとんど同じで安全圏内です。

  
 

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