新型コロナのPCR検査の数

2020.5/16(土)、 新型コロナの日本のPCR検査数はなぜ少ないか、に関して1次情報を分析した。
なお、新型コロナウイルスの新規感染者数が1時は500人を超したのに最近はかなり減ってきている。5/15(金)の新規感染者は50名くらいにまで減っている。(さらに、5/17(日)は25人にまで減ってきた)
 目次
1.諏訪中央病院の玉井医師
 
「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」
2.大阪大学元総長の平野俊夫教授
 
(医学博士、免疫学、腫瘍病理学)の解説
3.東邦大学医療センター 佐倉病院 松澤医師
 
「新型コロナウイルス感染症の検査を希望される方へ」
4.白鷗大学教育学部の岡田晴恵特任教授の発言
5.医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長 佐々木淳医師
 
「本当にPCR検査は必要か?」
※典型的な「PCR検査ふやせば終息できる」報道

2月初めころ以来、現在でも、日本はPCR検査が少ないのでダメだとテレビ番組のほとんどのコメンテータが発言するので、それらを見た多くの国民が不安になり、政府の取り組みが遅いと怒っている。
また、感染者が多くみつかるとオリンピックが開催出来なくなるので政府が検査をさせないのだと言う人もいた。
さらに、検査しないから見つからないだけで実際は大勢の感染者がおり、大勢の人がコロナで死んでいるが分からないだけだ、大本営発表を信じてはいけない、という人もいた。

ごく最近はPCR検査も徐々に増えているようだが、現在見つかっている感染者の多くは2週間くらい前、つまり5/3(日)あたりに感染したものと思われる。その当時はまだPCR検査数は多くなかったはずだ。少ないPCR検査数にもかかわらず、なぜこれだけ少ない感染者で済んでいるのだろうか?
そもそも、なぜ日本ではPCR検査数がこんなに少なかったのだろうか?
政府が評判を落としてまでPCR検査数を増やさない理由は何だったのだろうか?

これを考えるには感染症や免疫学の専門家の意見を、冷静によーく聞くこと、読むことが大切と考えた。我々は感染症や免疫学の専門家ではないので難しい論文は読めないし、読んでも基礎ができていないので十分な理解はできない。そんなに簡単なものではないはずである。
そこで、専門家ではないテレビのコメンテータ達の無責任な発言ではなく、一次資料とでも言うべき、実際にコロナウイルスと対峙している医師や免疫学の専門家が一般向けに書いたものを読むことで理解したいと考えた。以下、いくつかの記事を紹介する。 (⇒目次)

 
■1.諏訪中央病院の玉井医師がまとめた「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」という豊富なイラストで分かり易くまとめた膨大な資料がある。
http://www.suwachuo.jp/info/2020/04/post-117.php
この中に、普通の風邪をふくむ感染から新型コロナウイルスと確定され、回復や重症化に至る時間経過、流れが描かれている。その中に「大事なのはPCR検査ではなく時間である」と書いてある。この意味を推測すると、感染初期は新型コロナかどうか分からないし、日数がたてば普通の風邪は治り、治らないものはコロナの可能性が高くなり、そして多くの軽症者は回復し、(ここらでPCR検査がなされ)、一部の重症化した人は集中的に治療される、ということのようである。(下記イラストは玉井医師のかかれたものの一部であるが、部分的なので上記リンクにあるオリジナルをぜひ見て下さい)
20200516(3)
また別の所には、早期発見、早期隔離、早期診断、早期治療が大切と書いてある一方で、PCR検査は万能ではない医者が検査が必要と考える時の条件などが書いてある。逆に言えば、どんどんPCR検査をして感染者を見つけて隔離すべき、とは書いてない。(多くの方はこれを見て驚くのではないだろうか?、私も最初はそうであった。)
20200516(2)
また、コロナパニックを防ぐ対策として、密集を避け、帰宅したら手洗いをしっかりやり、できるだけ自宅で過ごすのが良い、と書いてある。(PCR検査をやって感染者をみつけて隔離することが大切とは書いてない
20200516(1)
そして「情報にまどわされない」として、
「感染症にくわしい〇〇と言うふれこみの人が「PCR検査を全例すべし」と言うのは医者から見るとおかしい、という意味のイラストを書いてある。
(PCR検査が最も大事と考えている人は、この記事の意味を分かろうとしないかもしれない。ニュートラルの姿勢で冷静に考えられる人は、卒倒するくらい驚くのではないだろうか?)
さらに「不安や焦りを感じる番組は見なくていい」と言い切っている。(この番組とは、素人コメンテータがPCR検査を沢山やって感染者を隔離すべきだ、それをしない政府は動きが遅い、韓国に倣うべきだ、ドイツ式が良い、東京はニューヨークみたいに大参事になる、と叫んでいた番組のことであろう)
20200516(1-2)
(⇒目次)

 
■2.大阪大学元総長の平野俊夫教授(医学博士、免疫学、腫瘍病理学)の解説
http://kozu5.my.coocan.jp/OhtaProfHiranoCorona.pdf
2020年3月27日付の記事に、「ワクチン開発は開発に少なくても2−3年あるいはそれ以上かかる。だから、対策はマラソンであることを認識する必要性がある。最終的に国民の30−60%が感染して免疫を獲得するまでは終息しない」と書いてある。また、「ワクチン開発は終息を早めるための要だが、開発に少なくても2−3年あるいはそれ以上かかる(1年で可能というのは気休め)」と書いている。
(これを見て、PCR検査をたくさんやって感染者を隔離すればすぐに収束するとテレビで騒いでいる人達はどう言うのか、またそう考えている多くの国民はどう考えるのか?、平野教授を出演させたワイドショーは見たことがない、なぜだろうか?)

PCR検査についてはほとんど書かれていない。
(つまり免疫学が専門の大阪大学元総長の平野博士はPCR検査が重要とは考えていない、と言うことであろうか。これを見ると多くの人は驚くであろうが、そう理解せざるをえない。別の見方があるのなら教えてほしい)

PCR検査のことに触れているのはわずかに1カ所「PCR検査を増やせば日本国内の感染者数が増える結果、死亡率は減るとは思います」だけである。
(これは、PCR検査を増やせば感染者が多く見つかる、ということであり、市中には発症していない感染者が多く存在することは当然のこと、と考えていると言えよう。またその結果、母数(感染者数)が大きくなるので、死者の数は同じでも死亡率は下がる、ということである。繰り返すが、多くの人が必要と考えているPCR検査を増やそうとは書いてない、のである)

「個人的には、丁寧な手洗い、アルコール消毒を頻繁に行う。栄養を摂り、十分な睡眠をとる」と書いてある。
(しかし、これでコロナウイルスを封じ込めるとは考えていない、とみるべきである。「国民の30−60%が感染して免疫を獲得するまでは終息しない」というのであるから、感染者が急激に増えて医療崩壊を起こすと困るから、手洗いなどやって感染者の急激な増加は抑えてほしい、と言ってると理解すべきであろう

この記事には、集団免疫ができるまでは終息しない、とずばりと書いてあって衝撃的であった。注文を付けるとすれば、PCR検査の役割り、位置付けを解説してほしかった。
(⇒目次)

 
■3.東邦大学医療センター、佐倉病院 呼吸器内科、松澤医師が「新型コロナウイルス感染症の検査を希望される方へ」と題して下記URLで書いている。
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/sakura/respiratology/patient/covid-19kensa.html
(以下に画像で引用した文章は必要な部分だけに編集しています。全体を理解のためには上記URLをご覧ください。)
まず「受診やPCR検査の対象になる人は症状が重い人」だと書いてある。そして「PCR検査は可能性の高い人に行うものであり、可能性の低い人に念のために行うものではない」と明言している。
20200516(4)
20200516(5)

「症状が軽い場合のPCR検索は意義が乏しい」、つまり症状が軽い場合はやっても意味がないと書いてある。
さらに、風邪症状だけの場合はコロナである可能性は低い、そして大勢の風邪症状の人がPCR検索にやって来るとその中に1人のコロナ感染者がいたら移ってしまうことになる、と説明しています。(これは、次の4で説明する岡田教授もテレビで言っていたような記憶がある)
20200516(6)

帰国者・接触者にPCR検査を実施するのはコロナ感染者である可能性が高いからやるのであり、可能性が高い場合にはPCR検査は意義が大きい、と書いている。
20200516(7)

つまり、政府がPCR検査を少なく誘導したわけではなく、病院自体がPCR検査を軽症者に実施する必要はないと考えていた、ということである。これは、一部のクリニックなどでPCR検査が必要と医師が考えても保健所で拒否された、というテレビでの報道と少し矛盾しているように思える。医師が実施すべしと判断したものは実施されるべきだろう。 詳細が分からないが、たまたまその保健所が多忙を極めていたのでそのような応対になったのかもしれない。ワイドショーは視聴率を上げるために騒がれるようなものを繰り返し放映する傾向のあることを知っておく必要がある。

対策として、(発熱や咳などの)症状があろうがなかろうが、全ての人が感染予防に注意するしかない、3密を避けろ、と書いている。
20200516(9)
そして今日、日本はこのように3密を避けることで感染者数を低く抑え込んでいると思われる。
(⇒目次)

 
■4.白鷗大学教育学部の岡田晴恵特任教授の発言。岡田教授はテレビ朝日などで新型コロナウイルスに関して毎日のように見解を発信している。岡田教授は本はたくさん出しているようだが、ネットで見られる記事は見あたらない。テレビ番組で聞いた発言をまとめると、以下のような意見ではないかと思う。
(1)PCR検査を増やし感染者を隔離することは大切。
(2)短期間に感染者が増えて医療崩壊を起こさせないことが大切。
(3)患者総数は同じでもピークを遅く、低くすることが大切。
(4)だらだらと感染者(患者)は続く。
(5)集団免疫ができるまで収束しない。
(6)広範のPCR検査や抗体検査をやることで全体像を把握できる。

2月頃の時点で下のような図で説明していた。(今では、あちこちで説明されている)
2020-05-17(1)

岡田教授は、PCR検査の数を増やして感染者を隔離することで爆発的感染を抑えることが大切、と言っている。書き物がないのではっきりしないが、感染者をゼロにすることは最初から考えていない。ここがポイントである。
専門外の学者を含む多くのコメンテータは「PCR検査を徹底してやって感染者を全員隔離して収束させる」と発言している。

これ以降はこのブログを書いている私の推察。岡田教授は「全員隔離して収束させる」というようなことは発言していないように思える。PCR検査を増やすということは同じだが、その先は全く別のことを言っているように思える。PCR検査やって全員隔離すれば収束できるという多くの素人コメンテータの主張とは、同床異夢のように思える。
ただし、最近は他の素人コメンテータが「PCR検査をやって感染者を隔離すべきだ」と発言すると何の注釈も入れずに同調するような発言も多く、見ていると教授の真意はどこにあるのか分かり難くなっている気もする。

なお、岡田教授が「データを独占したい国立感染症研究所の思惑がある」と言う告発とされる発言は事実が十分に分からずここでは取り上げない。
(⇒目次)

 

■5.医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長 佐々木淳医師(内科)の「本当にPCR検査は必要か?」・・・5/24(日)追加
類似のものを積極的に探している訳ではなく、いろんなネット情報を見ているとき見つかったものの一つである。
この病院は首都圏の機能強化型在宅医療ネットワークの仕事をしている医療機関。病院 https://www.yushoukai.org/
本当にPCR検査は必要か?」の記事https://www.google.com/amp/s/www.yushoukai.org/blog/pcr.amp

冒頭から「PCR検査は増やすべきなのか?」として詳しく説明している。そして、以下のように明言している。
必要性の高い人には迅速にPCR検査できる体制が必要」だが、
「一般市民に対するスクリーニングや漠然とした不安に応えるための検査は増やすべきでない」
2020-05-24(1)

そして、対象を選別しない広範なPCR検査は現段階では「百害あって一利なし」。それでも大規模PCR検査にメリットがある、という方はぜひ教えてほしい、と書いています。
(素人コメンテータのワーワー騒ぐ意見を信用し、病院の責任者がこのように言うのに耳を傾けない態度がなぜ生まれているのか?、
どうして素人コメンテータの意見を信用し、このような責任ある立場の人が言ってることを信用しないのだろうか?、
不思議なことだ。マスコミに洗脳されているのだろうか。つまり、素人コメンテータが視聴率を取るために、面白おかしく味付けをして、連日繰り返し、しかも他局も似たような内容で放送するので、それが正しいと思ってしまうのである。
このような情報リテラシーのない国民で、危機への対応ができるのだろうか?)

なぜ医師会がPCR検査の拡大を求めるのか、という疑問にも明快に書いている。答え・・・それは「医師が必要と判断した人にもかかわらず検査ができない」という状況が一部地域で生じていたからです。医師が必要と判断した場合には、速やかな治療方針の決定のためにも、PCR検査が迅速に実施できる体制を早急に整えるべきである・・・、と書いている。
2020-05-24(2)

最後に、として「感情的な判断や行動は不安や恐怖、焦燥を増幅し、取り返しのつかない不利益をもたらすこともある」と書いている。そして、「不安に対する効果的な薬は正しい情報である、信頼できる情報源をきちんと見つめることが大切」と書いている。
PCR検査を増やせば収束すると言うような簡単なものではない」と書いている。
2020-05-24(3)
(⇒目次)
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これらを読んだ結果として、日本は病院側がPCR検査を増やすことに積極的ではなかったことが分かる。
ここ10数年の間、日本の医療体制はガンなど今そこにいる患者の対策に多くの資金をまわし、いつ起きるか分からない感染症対策はやや手薄になっていたようだ。確かにPCR検査機器や人員の準備は少なったようだ。それは、限られた資金を効率的に活用する良い体制と言えたのではないだろうか。
そして新型コロナの発生した今、限られた医療資源を感染可能性の高い集団へ集中的に振り向け、また重症者への対策に上手に使ったのだろう。
でなければ、大量の新規コロナによる死者が増え、その家族や病院関係者にどんどん感染し、現状のような安定した状況になっているはずがない。つまり隠れ感染による死者はそんなにいなかったと考えるのが妥当であろう。
簡単に言えば、PCR検査数を増やさなかったので外出自粛が守られ、コロナウイルスの感染拡大を抑えることができたと言えるのかもしれない。
もちろん、政府主導による学校閉鎖、外出自粛、3密防止などが守られ、また握手しない・ハグしない・大声で話す習慣がない、など生活習慣の違いも大きな要因であろう。

なお、一部の病院で医療関係者に犠牲が出たことはじつに痛ましいことであるが、それは未知のウイルスとの戦いである以上、どのような体制をとったにせよ起きたことであったろう。

とろこで最近のワイドショーでは「感染者が減ってきてるのは外出自粛など国民が努力したのであって、国が努力したのではない」などと煽るような発言があり同調する人もいる。外出自粛など国民個人個人が努力した事は事実であるが、国が努力したのではない、などは人気取りのバカな発言にしか聞こえない。
国の努力と個人の努力は内容が全く異なるものである。国(政府)は、やむなく個人の自由を制限せざるを得ないと認識して、外出自粛で経済活動を抑えることを国民に要請し、万全ではないものの経済的支援を決定し、学校閉鎖など要請し、主導してきた。そのような方針を決定したのは国の努力と言えよう。つくづく、ワイドショーのコメンテータと言われる人たちは自分のメシの種を確保することに熱心な人たちだと、いつもながら辟易する思いである。
しかしワイドショー番組もすべてがダメな発言ではなく、参考になることも多い。取捨選択すれば見る価値はある。鵜呑みにしないでよーく考えながら見ていくことが大切である。
なお、BCG接種の多いのが感染者の少ない原因だとかいろんな可能性が言われているが、今の所それは不確かな情報である。

気になることを書いておきたい。「広範なPCR検査をやって感染者をほとんど隔離すれば、感染の連鎖が断ち切られ収束する」ように見える。
ところが、それでは集団免疫(に近い状態)はできておらず、その社会はコロナウイルスに対して脆弱な状態といえる。もし、1人の感染者が3密状態でウイルスをばらまけば、たちどころにクラスター発生になってしまうことが予想される。ということは、集団免疫(に近い状態)ができない国は、ワクチンができる数年先までずっと、3密防止策でやっていくことになる。それは大変なことだろう。
韓国はPCR検査を徹底してやっていたのでひょっとするとこのような危険な状態にあるのかもしれない。5月14日あたりからの韓国でまたクラスターが発生しているが、このような理解ができるのかもしれない。

じつは白状すると私は、2月頃まではPCR検査を保健所でなく民間でもどんどんやるべきと考えていた。
その頃、NHKニュースなどで、ちょっとした風邪で新型コロナじゃないかと思って病院に行かないで、とか、インフルエンザは4日くらいで良くなるし新型コロナは治療法がないのでひどくなるまでは家で静かにしていてほしいなどと言っていた。それはかわいそうだな、と思った記憶がある。そのうちに一時的であったが、PCR検査をもっとやれというワイドショーの大合唱に巻き込まれた。
しかし、冷静にいろんな情報を見ていると、ワイドショーの素人コメンテータの騒ぎと何かが違うと考えるようになった。3月中頃からは、PCR検査をむやみに「やらない」ことで日本は何とかうまくいっているのではないか、と理解しつつあった。知人にそんなことをチラッと言ったことがあるが、逆に(ワイドショー番組の受け売りと思われるが)韓国方式のドライブスルー検査を導入せよ、ドイツ方式が良いのだ、このままでは東京もニューヨークのように医療崩壊が起きるぞ、などと自信たっぷりに不安を掻き立てる人がいた。
3月頃、このようなブログで書くと石を投げられそうで書けなかったが、今は書いても良かろうと思うし、それどころか書かないと今でも誤解している人が多いだろうと思って書くことにしたものである。 (⇒目次) 
 
例えば、5月10日前後になっても、テレ朝では下記のような内容を流していた。九州大学の小田垣孝名誉教授(理論物理学)が、PCR検査数を4倍に増やせば接触の削減なしでも8日で収束すると言うものである。この先生には悪いが、彼は理論物理学の専門家であっても感染症の専門家ではない。4倍どころかもっと数多くやっている国があるのに、日本よりも多い感染者がいる状況をどう見ているのだろうか?
ばかばかしくて詳しく見なかったので私の受け取り方に間違いがあるかもしれないが、常識を疑う内容である。
odagaki
 (⇒目次)

また、感染者が多くみつかるとオリンピックが開催出来なくなるので政府が検査をさせないのだと言う人もいた。そんなことを言う人は、そんなごまかしで危険な感染者を野放しにすれば鼠算式に増えてしまい大変なことになるという想像がつかない能天気な人であろう。
また検査しないから見つからないだけで実際は大勢の感染者がおり、大勢の人がコロナで死んでいるが分からないだけだ、大本営発表を信じてはいけない、という人もいた。しかし、もし大勢の人が新型コロナで死んでいるのならばその周辺で爆発的な感染が起きているはずであるが、どうもそんな状況ではない。未発見のコロナ死者は多くはないとみて良いのではないだろうか。

ちょこっと勉強した程度のコメンテータと言う素人のワーワーしゃべるワイドショーとか、外科医とか原子力専門家などの門外漢の発言に惑わされてはいけない。また初期において、PCR検査が必要と医師が判断しても検査してもらえないケースがあった実例を、それが全体であるかのように取り上げて不安を煽り視聴率を稼ぐ必要のあるのが民放テレビであることを理解して、賢く考える必要がある。

WHO上級顧問の渋谷健司氏のインタビュー記事がある。「検査と隔離しかワクチンが出来るまで対策はない。日本では検査数を減らし、医療崩壊を防止するとしているがこれは全く逆。検査しないことにより隠れコロナによる市中感染が拡大し病院の院内感染が拡大する」と言う意味のことが書かれている。
日本も必要性の高い者にはPCR検査をやっており、必要以上に減らしていたわけではないようだ。欧米ではPCR検査をたくさんやったが日本よりも多い感染者であり死者数である。また、欧米にしても症状のない多くの人がPCR検査を受けず多くの感染者が市中を歩き回っていると理解すべきである。だから欧米でも(市中を歩き回っている感染者から移されないために)ソーシャルディスタンスが大切と言っているのである。

なお、日本はPCR検査数が少ないので信用できないという外国の発言が多くなれば、3密防止の行動様式がしっかり身についてきた今日においては、日本でもPCR検査をもう少し多くやって安心させることが大切であろう。相手がいる問題では相手に合わせざるを得ないからである。

なお、私はPCR検査をむやみにやらなかったことだけが日本の成功の原因と考えてはいない。成功の裏には複合的な原因があったはずである。私は「なぜ日本のPCR検査数は少ないのか?」を探していたら「病院がPCR検査の増加を望んでいなかった」ということを知った、ということである。それが正しいのかどうか、私はコロナウイルスについては全くの素人であり自信を持って言えるものは何もない。
さらに、この記事は政治姿勢とは無縁の立場で書いている。政府を擁護する記事のように見えるかもしれないが、そんなことはない。事実を調べたものであり、政府のおかしい点は批判的に考えている。この機会に書いておくが、政府からの1所帯にマスク2枚配付の件、しかも小さなマスクで、最初からお笑いものと考えている。マスクが足りないとパニックになりそうだった時期に発表した施策であり、それなりに沈静化の役を果たしたのかもしれないが、少なくとも現時点ではすでに役割を終えている。まだ私の家には届いていないが、届いたら首相官邸に送り返そうかと考えている。民間でやれることに官が手を出すとだいたい失敗する。こんな政策は役割を終えたとして即刻中止すべきである。 (⇒目次)

コロナウイルス対策

2020.4/17(金)、晴れ コロナウイルスの早期終息を期待しています。これは全国民、全人類の願いでしょう。しかしながら「早期終息」は無理なようです。とはいえ、人間はこれまでも数多くのウイルスと戦って安全に共存できる体制を作ってきました。今回も数年後には終息できるはずですから、そのときを気長に待ちましょう。

経済活動を9割押さえれば1ヶ月で「制圧」できる、というマスコミ報道があります。ノーベル賞学者の本庶氏も「厳しい規制で早期終息」などと言ってるようです。あるいは本庶氏の本意は違うのにマスコミがそう使っているだけかもしれません。
私は、これは誤った楽観論と思えて仕方がありません。多くの免疫学などの専門家が、どうやっても終息には年単位の期間が必要と言っています。
2020-04-16 08.52.18

1ヶ月の緊急対策をすれば間違いなく新規感染者は減少するでしょうが、緩めればまた感染者は増えるようです。1カ月の規制で制圧とか終息というのは間違いと考えるのが妥当でしょう。

それが納得できるのは、わずか1人(か数人)が元でクルーズ船のあの感染が起きてしまった訳ですから、我々が免疫を持たない限り、わずかでもウイルスが残って3密の環境ができると感染が再び拡大してしまうはずです。集団免疫ができれば終息するそうですが、そうなるには膨大な数の人が感染し回復して抗体を持つ必要があるようです。感染者を少々減らすだけでは押さえ込みは困難のように思われます。それが証拠に中国でもまた増えています。

我々は医療崩壊を起こさぬように、全員が「自分も感染者」だと思って3密を避け、他人とは2mの距離を維持(ソーシャルディスタンス)し、感染者の急増防止に貢献することが大切と思います。ワクチンができる2021年後半、または2022年まで続く長期戦を覚悟し、マラソン的対応が必要と考えています。
7000万人もの集団免疫ができれば「終息」できるそうですが、数ヶ月でそうなるには膨大な感染者の起きることが必要で、それでは医療崩壊が起きてしまいます。だからワクチンができるまで、多分2、3年くらい我慢の日が続く、規制と緩和の繰り返しが続くものと考えています。

世の中には、これが解決策であり、やらない○○はバカだという類のマスコミや知人がいます。しかしそうでしょうか?
考えればすぐに分かることですが、それでうまくいくのならパンデミックになっていないはずです。
2020-04-14 12.02.08-1

PCR検査をすれば抑え込めると言う人がいますが、それも上のこととよく似ているように思います。PCR検査をやみくもに増やすのは望ましくないと日本の免疫学者、また少なくとも一部の医者は考えています。一方で、医者が検査が必要と考えてもやってもらえないケースがあると、特に4月初め頃までは報道がされておりましたが、病院の医者が検査が必要と判断したらやってもらえる体制が必要でしょう。そうするためにも、不要なものはやるべきではない、とも言えそうです。

日本ではPCR検査機器も不足し、さらにそれを操作する人員がかなり不足しているようです。特に問題なのは、この操作する医療関係者は急に増やせるものではないということです。
政府の対策が後手後手だという人もいますが、日頃から検査機器をたくさん保有し、検査人員を豊富に育成しておくことが日本でやれたのでしょうか。限られた予算のもとでは無理でしょう。税金の無駄使いと指摘されたでしょうし、実際そうなる恐れもあります。ただし今後は、このような面に税金を使っていこうというコンセンサスを得られるでしょうから、もう少し医療関係者の育成に資金を回す体制が作られることを期待しています。また、法定伝染病だから保健所でやらねばならいという法律の壁もあるようです。PCR検査を民間でもやるべきだ、やらせないのはおかしいと言う声もありました。この点の詳しい情報は私は不足していますが、これまでそれが正しいと思ってやってきたわけで、間違っているなら法改正をすべきでしょう。

なお、ドライブスルーでPCR検査を行う体制を作ると受付けは簡単になりますが、処理できる人員が確保できていないと実施できません。また「大変なことが起きているのだな~」と情報リテラシーの低い人にも理解させ、3密防止や2m維持(ソーシャルディスタンス)を守る人が増える、ということも期待できそうに思えます。
※情報リテラシー・・・情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと。「デジタル機器の取り扱いやネット利用の基本的知識」はその一部ですが、最も重要なことは「情報の内容を評価する能力」です。3密防止が重要、2m維持が重要、マスクや食料品は買いだめするな、などの情報を正しく理解して対応できることです。昨今のワイドショーで面白おかしく流れる情報をより分け、専門家の意見を整理して事実に近いものを知る情報リテラシーをどれだけ持っているでしょうか。

都市閉鎖とかドライブスルー方式のPCR検査をこれまでやらず、なんとなく動きが鈍いように見える日本で、なぜこんなに感染者や死亡者が少ないのでしょうか?
少し前は「オリンピック開催のために少なく見せているのだ」とも言われ、「検査していないから少ないのであって実態ははるかに多い」とマスコミは社会不安を煽り、「オレはこんな国の施策で殺されたくない」などと声高に騒ぐ人もいます。たしかに検査数が少ないの面もあるかもしれませんが、そればかりではない様に思いませんか?
なぜならば、隠れ感染者や感染により死んだ人がもっといるのならば、その周辺でもっと爆発的に感染者が、そして特に重症者や死亡者が多くなっているはずではないのでしょうか?
また最近は検査数は徐々に増えているはずですが、逆に4月11日以降は感染者は減ってきています。これは3密防止、2m維持を国民が守った成果と思われます。
corona-japan

諏訪中央病院の玉井先生と言う方が、豊富なイラストを手書きして克明に今回のコロナウイルスとはどういうものか、またその対策を説明しています。23頁+23頁+13頁の3部作です。手書きイメージをPDFにしてありますので重たい(表示に時間がかかる)ですが、有益です。今となっては知ってることも多いですが、確認になります。貴重な情報です。
http://www.suwachuo.jp/info/2020/04/post-117.php
これにもPCR検査は万能ではないと書いてあります。

別の所で見ましたが、陽性と判断されたら9割がた間違いないようであるが、感染していても陰性と出ることが半分くらい(30%~70%までいろいろ)あるようです。だから陰性と判断されても安心できません。もちろん、医者が検査必要と判断したものは検査すべきなのは当然です。
今回の武漢発のコロナウイルスはものすごい感染力があり、その一方で8割くらいの人はごく軽いとか発症しないようなので、国民全員が「自分はすでに感染している」と思って、他人にうつさないという防護策をたてるのが最良と思います。

岡田晴恵教授もときどき「感染者がいちど減少しても、しばらくたつと必ずまた増える」と言っています。岡田さんだったか別の人だったか忘れたが、「日本では減少しても、世界中の一部の感染が増大している地域からウイルスがやってくる恐れが続く」と言っていました。それもそうですが私が思うには、日本の中でも感染者が減少しても少しは残っているのですから、それが元になって3密状態ではまた増加するでしょう。

また、大阪大学の元総長の平野俊夫教授(医学博士、免疫学、腫瘍病理学)が今回のコロナウイルスについて、2020年3月27日付で分かり易く解説しています。http://kozu5.my.coocan.jp/OhtaProfHiranoCorona.pdf
この中には、短距離競争と思って全力疾走するのではなく、パンデミックになった現時点ではマラソンだと思ってペース配分して取り組むことが大切と書いています。この記事の要点を私なりにまとめると次の通りです。

1.普通のインフルエンザにより世界では毎年60万人も死んでいるが、今回のコロナウイルスはワクチンも治療薬もないので放っておくと、はるかに多くの死人を出すことになる。そのためインフルエンザとは違うものと認識し、正しい感染防止の行動をとることが大切。

2.終息には年単位の長期間が必要で数か月では収まらない。短距離走ではなくマラソンである。1年でワクチンができるという報道は気休めであり、2~3年かかる、治療薬は5~10年かかる。新規感染者が減少しかかっても3密行動をとるとまた増えてくる。そのため全国民が3密防止の行動をして、医療崩壊を招かないことが大切。

3.終息には、国民の約3~6割(日本では3600万~7200万人!)が抗体を持つ集団免疫が必要である。それにはワクチンと自然感染の方法がある。ワクチンができるまでは感染者をできるだけ減らす(または徐々に増やす)しか手段がない。

4.PCR検査をすれば感染者と分かった人が増えるので死亡率(死亡者の割合)は減る。・・・私のコメント;PCR検査についてはこのようにごく簡単に書いてあるだけで、検査を増やすのが終息に役立つとか、大いにやるべし、などとは書いてありません。書いてないということは、3密防止などに比べて重要ではないからでしょうか?

iPS細胞で有名な山中伸弥博士は下記URLで自分の見解を情報発信しています。 https://www.covid19-yamanaka.com/index.html
PCR検査の強化が必要と書くと共に、「新型コロナウイルスとの闘いは長いマラソン。しばらくは全力疾走に近い努力が必要だが、その後の持久走への準備も大切」と書いています。「対策は、ワクチンや治療薬が開発され、十分量が供給されるまで続けなければなりません」とも書いています。つまり数か月での終息は無理だと書いています。

短期間での終息は無理なようです。気になるのは、どうやってそれまで(医療、食料、インフラの維持に必要な)経済活動を維持するか、そして人間の、特に子供や孫達の心身の健康を保つかということです。