2015.11/29(日)、晴 日立女性フォーラムが藻谷浩介氏を招いて、茨城大学で講演会が開かれました。(後援;茨城県、日立市、茨城大学など)
日立市は人口転入から転出を差し引いた人口の社会減数が全国ワースト2ということで今回の講演会が企画されたとのこと。関心のある人が多く、参加申し込み者が300人を越えたそうです。私も期待して参加しました。(なお、司会はうちの大蔵大臣でした。)
階段教室の椅子の数は290くらいなので当初は200名まで受け付けるつもりが、結局300名を越す申し込みを受け付けたとのこと。参加者の多くは一般の方で高齢の人が多かったが、後ろの方に若い人がだいぶいました。特別の招待はしていないのに、国会議員1名、副市長、市議会議員は10名前後、近隣の市を含む市職員などの聴講もあったようです。
講演はいろんな数字を使ってその意味を解説されたが全く眠くならず、面白く聴けました。
以前どこかで見たような気がするデータであったが、出入りの人口が減少のワースト1;北九州市、2位;日立市、3位;東大阪市、4位;何と豊田市である(平成26年)。これらの町は、地域の会社の調子はいずれも上手くいっているのだが人口が減っているという。会社の業績と人口減とは関係ないのだという。
地元の良い所を、自信を持って語るようでないと、人は来ない。誇りをもって地元の良い所を語ろう。日立市の良い所を見つけて誇りを持とうと言うことであった。
佐渡のトキが絶滅し今また400羽にも増えてきた。これは、環境汚染で絶滅し、その後中国から2匹を連れてきたが、環境改善でこのように増えたのだという。また、その中国でのトキもその数年前に突然やってきたものらしく、日本の自然環境が悪くなったので飛んで行ったのではないかと言われていることも紹介された。
人口を増やすには、子供を安心して育てられる環境改善が必要とのこと。納得いくものであった。
ご本人もいうようにかなり早口であったが素晴らしい活舌で、私には十分聞きとれた。常盤(ときわ)大学のことを”じょうばん大学”と言ったのも確実に聞きとれた。
藻谷氏には失礼(※)ではあるが、「目からうろこ」の事がいくつもあった。
※藻谷氏自身が「本は90何万部以上も売れ、頻繁に講演しテレビでも発言しているのに、講演を聞いて”目からうろこ”だったと言う人がいまだに居るのは残念だ」という主旨の話があったため。
講演の最後の方で、具体策もいくつか提言があった。良い企画であり、良い講演会であった。
藻谷氏は、ものすごく多忙な人で、毎日数回の講演をこなしている。昨日は大阪で複数の講演をやり、深夜帰宅して茨城県や日立市の状況にあったデータを追加したパワーポイントを作られた模様。門での出迎え、到着、機器の準備、終了後の出立まで見ていたが、全く無駄のない行動だった。昼食は車の中(に近い状況)で、本日も午後は栃木県に車を運転して移動して講演とのこと。睡眠は3時間くらいではあるまいか?
(後日、知人から聞いたことだが、藻谷氏はこの翌日は福島(あるいはもう少し北か?)の被災地へのバスツアーに乗って、マイクを握っていろんな話をされていたとのこと。スーパーマンです。)
記憶に残ったいくつかのこと。(早口の2時間の抜粋なので意味が通じないものがあるかもしれません。)
- 人口が減るのは会社の調子が悪いからではない。平成26年の人口減1位;北九州市、2位;日立市、3位;東大阪市、4位;豊田市だ。そこにある会社が不調なわけではない。
- 今後も会社は自動化して生産性を上げるので人手は不要になり続ける。そうしなければ会社が潰れる。だから会社に頼ったのでは今後も人は減る。
- 沖縄やニセコなど、地方で人が増えている所がある。自慢できるものがある町は人が増える。
- 魅力ある地域がなくなっている人口が減るのだ。
- 地域活性化とは、人口が減らないこと—若者が多く、子供が生まれること—誇りを持って地域を残すこと。
- 自元の魅力をみつけ、それを口にして、発信しよう。
- トキは佐渡で400羽も飛んでいる、良い材料だがPRしていない。
- 日本のトキは環境が悪くなって絶滅した。その後、中国から2匹連れて来て15年くらいかかって400羽に増えた。
- トキの遺伝子が変わったのではなく、環境が変わって餌が増えたのが増殖の原因だ。(←全くそうだろう)
- 人も環境が良くなれば増える。現在は女性が子供産むのは危険と感じているから子供が生まれないのだ。
- 100年間で見ると、近年は殺人事件数は減少し、最近は最低である。
- 水くらい地元のものを飲め。エビアンを飲めばその金はフランスに行くだけだ。
- 自元でお金が回るように地消地産をやってほしい。(←日本中がそれをやると可笑しなことになりそう、と言う意味で私は少し理解できないのが)
- 多くの福祉施設で築地経由の材料を使っている。便利だからと言ってそれでは金が東京に流れるだけだ。
- 今だけ、金だけ、自分だけ、ではいけない (←この意味は、今だけだから自元に金の落ちないものを利用しようではダメ、金が安いから自元から金が出ていくものでも使おうではダメ、皆には頑張ってほしいが自分だけは簡単に済まそうではダメ、だったかな?)
- 日立市はアクティブな老人が多いことで有名。
- 日立市の税収は今後もある。しかし東京は少なくなる。
- 産休の人を非難するのは、環境改善に金を掛けるのを惜しむのと同じく、時代錯誤だ。
- 沖縄では母子家庭が多い。母子家庭が当たりまえ。
- (データを見ながら)働く女性の多い県は、出生率も高い。
- (日立市のように)小学1年入学時に全員にランドセルを配るのは愚策。 おじーちゃんの仕事だ。
- 子育て支援は大切。
- 日立市は家賃が高過ぎる。
今日の講演会で得た知識を、どうやって生かして改善していくか。私も、できることからやってみよう。
団地ではどんどん空き家が増えている。何とかしたい。まず、参加者がいる限り真冬でも公園でラジオ体操を続ける、公園の砂場を清潔にし、公園の花壇に花を植え、そして公園では子犬とお年寄りが遊び、誰も居ない時はゴルフの寄せの練習くらいはやって良いとし、道路に犬のフンは落ちていないようにし、(安価な固定料金を払っておけば)バスには無料で乗り放題などなど、住みよい団地を作っていきたい。誰かが一歩踏み出せば、大勢が前に進みだすはずだ。